幼い頃、祖母の家近くにある料理屋で、名物のちゃんこ鍋をよく食べさせてもらいました。
とても美味しい店で、親戚が集まる時は必ずちゃんこ鍋でした。
相撲は取らなくても、ちゃんこ鍋は食べます。
祖母は他界し、あの店に行く機会も無くなりましたが、今でも鮮明に味を思い出せます。
まずは出汁で食べ、七味を入れ、最後は柚子胡椒で味を変えて…
その柚子胡椒、おそらく手作りだったと思うのですが、まさに絶品でした。
口中に広がるゆずの香りと、舌を刺激するピリッとした辛味。
あれ?ピリ?辛味?胡椒ではないような…
気になって調べたところ、なんと柚子胡椒には胡椒が入っていないとの事。
柚子と唐辛子で作られているそうです。
柚子胡椒ならぬ、柚子唐辛子です。
思い出に浸っていたのに、こんな詐欺を暴く事になるとは。
この詐欺事件、犯人探しをするとコロンブスまで時代が遡ります。
コロンブスが胡椒を求め旅に出た際、辿り着いた先で手に入れた「唐辛子」を「胡椒」と勘違いしました。
そして、勘違いされたままポルトガルから日本に伝わり、九州地方で「唐辛子」を「コショウ」と呼ばようになったそうです。
その後、コショウ(唐辛子)を使い柚子胡椒が生み出されました。
結果、今だに柚子胡椒と呼ばれ、勘違いが続いてる始末。
ここまで来れば、胡椒は入っていなくても、柚子胡椒という呼称は、仮称ではなく、高尚な公称と言えるでしょう。
我ながら、柚子胡椒だけに後味がよろしいのではないでしょうか。
コメントをお書きください